2018年04月14日

水彩画とエッセイ

20180414mercato120.jpg
東北通信情報懇談会の会報誌「メルカート」の最新号が手元に届きました。背表紙に「旅絵」と題した水彩画とエッセイを担当して6回目。今回は秋田・由利本荘市の鳥海山を題材にしています。

今まで絵とエッセイの仕事をいただいてきましたが、メルカートは東北全域をテーマにしています。取材旅の合間にこころに舞い降りたキーワードから、自分の内側を振り返ることができて、とてもありがたい仕事のひとつです。

テキストも下記に紹介します。ご笑覧ください。

 * * *

菜の花畑へ-鳥海山

 わたしは小学生の頃、岩手の二戸という町にすんでいた。家は町はずれだった。当時、東北本線がすぐそばを走り、線路の向こうには急斜面の山が壁のように立っていた。列車が通るとゴトンゴトンとレールの音が山肌に反射し聞こえてきた。そのたびに「あの山の向こうはどんな風景なのだろう?」と思っていた。

 山を登りきり、稜線から向う側を見たい。その想いは結局叶わず、数年で転校することになった。登山家や冒険家なら、そんな体験が原体験の一つなったと言っても格好がつくが、残念ながらわたしはそのどちらでもない。山に登る習慣のない自分ではあるけれど、それでもその存在の強さはわかるような気がする。

山はただそこにあるだけだ。しかし、麓や周囲に暮らす人にとって、その姿は目に見えない心の盾だ。特に住み慣れた場所を離れた時に、その盾の強さは強靭となる。

 今回の絵は春の鳥海山。山形側、秋田側それぞれで違った稜線を見せてくれる。何度旅しても深呼吸をしたくなる山だ。

 何気なく山なみを眺め、息を吸う。そうすることで心の楯の厚みが少しずつ増して行く。二戸で見ていた名も知らぬ山もまた自分に大きな何かをくれているのではないか。

 この絵の菜の花畑は、由利本荘側から登った桃野という地区に広がっている。

(絵と文・古山拓)
20180414cyokaisan.jpg

posted by タク at 21:06| 宮城 ☁| Comment(0) | 水彩画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年04月03日

岩手の宝物

この絵はどこの国ですか?ヨーロッパ?とツィッタで尋ねられました。
場所を明かすと岩手です。

岩手は県のなかでは日本一広いのです。感覚的には四国とほぼ同じ。楕円をタテに置いたようなカタチをしていますが、真ん中を北上平野が楔のように北に貫き、西に奥羽山脈、東に北上山地が位置します。

奥羽山脈は若く、北上山地は年取ってる、と子供の頃習いました。そんな大地ですから、肥沃とは言い難い。だから開拓村があちこちに点在します。そしてその風景に佇むのが、絵に描いたスタイルの農家なのです。

たしかに東北六県スケッチ取材してきましたが、このデザインは岩手オリジナルですね。どこか異国の香りさえ放っています。

2歳から3歳にかけて、私が住んでいたのは絵のような景色が広がる山間部でした。この酪農家デザインは岩手独特。暮らしている県人はなんとも思っていないかもしれませんが、飛び抜けて大事な「景観デザイン資源」だと思うのです。

建て直す時、このスタイルを大切にしてあげると、のちのちいいことがあります、きっと。大手ハウスメーカーいいなりになったら岩手らしさは消えて行きます。
このカクカクスタイルは間違いなく岩手の宝物ですよ。

故郷を出て30年以上たちますが、誰かが大きな声で言わないと、どんどん故郷岩手の景観がどこの国の建物だかわからないハリボテデザインに取って代わっている岩手の景観が悔しいです。

なので絵で叫ぶ。

盛岡川徳個展「絵のあるおはなし」展は4/5〜4/11。
この絵も出品します。
描いた風景の向こうに、それぞれの物語を紡いでもらえると嬉しいです。

このモチーフは意地でも描き続けます。


E3BD96E7-74DA-429B-902A-AFF2378B3957.jpg

posted by タク at 00:32| 宮城 ☁| Comment(0) | 個展 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

岩手の宝物

この絵はどこの国ですか?ヨーロッパ?とツィッタで尋ねられました。
場所を明かすと岩手です。

岩手は県のなかでは日本一広いのです。感覚的には四国とほぼ同じ。楕円をタテに置いたようなカタチをしていますが、真ん中を北上平野が楔のように北に貫き、西に奥羽山脈、東に北上山地が位置します。

奥羽山脈は若く、北上山地は年取ってる、と子供の頃習いました。そんな大地ですから、肥沃とは言い難い。だから開拓村があちこちに点在します。そしてその風景に佇むのが、絵に描いたスタイルの農家なのです。

たしかに東北六県スケッチ取材してきましたが、このデザインは岩手オリジナルですね。どこか異国の香りさえ放っています。

2歳から3歳にかけて、私が住んでいたのは絵のような景色が広がる山間部でした。この酪農家デザインは岩手独特。暮らしている県人はなんとも思っていないかもしれませんが、飛び抜けて大事な「景観デザイン資源」だと思うのです。

建て直す時、このスタイルを大切にしてあげると、のちのちいいことがあります、きっと。大手ハウスメーカーいいなりになったら岩手らしさは消えて行きます。
このカクカクスタイルは間違いなく岩手の宝物ですよ。

故郷を出て30年以上たちますが、誰かが大きな声で言わないと、どんどん故郷岩手の景観がどこの国の建物だかわからないハリボテデザインに取って代わっている岩手の景観が悔しいです。

なので絵で叫ぶ。

盛岡川徳個展「絵のあるおはなし」展は4/5〜4/11。
この絵も出品します。
描いた風景の向こうに、それぞれの物語を紡いでもらえると嬉しいです。

このモチーフは意地でも描き続けます。


E3BD96E7-74DA-429B-902A-AFF2378B3957.jpg

posted by タク at 00:32| 宮城 ☁| Comment(0) | 個展 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年03月27日

「交響曲「第九」 歓びよ未来へ! 板東俘虜収容所 奇跡の物語」出版

「交響曲「第九」 歓びよ未来へ! 板東俘虜収容所 奇跡の物語」(くすのきしげのり・作/古山拓・絵/PHP研究所)が先週、出版されました。
「あなたの一日が世界を変える」に続いて、くすのき先生とPHP研究所さんからお声掛けいただいた絵本です。体裁は全作に準じ、第二弾的あつかいです。

ベートーベンの第九がアジアで初めて歌われたのは、100年前の徳島板東俘虜収容所でした。(わたしも初めて知りました)
当時の収容所長が会津若松出身。戊辰戦争での敗北で敗軍の兵士達の気持ちをわかっていたことから手厚くドイツ兵捕虜達を迎え、捕虜達が感謝の気持ちを第九演奏に託したのがはじまり。そのエピソードを、小学生の女の子が知っていくという筋立てです。
今は年末恒例となった第九演奏、そのはじまりが戦争の傷跡と友情。信頼だったとは。。。私は本拠を仙台に構えていますので、東北出身の収容所長の存在は、ことさらに特別か感情がありました。平和と国境を越えた友情への祈りを込めて、描きました。

制作は現地取材はもちろんのこと、くすのき先生、編集担当者様と膝を交えてベストな表現を練り、描き上げました。(モノトーンの絵は見返しです)
私は何度か書いてきましたが、絵を学ばずに歴史を学んだ人間です。(絵は独学)今回の制作には、そのことが大きく役立ちました。

歴史は教科書に載っている有名な人たちが作っていくのではなく、名も無い人々が織り上げていくものなのです。板東から世界にひろがった第九演奏は、まさにそのことを証明しています。
おかげさまで書店発売と同時に重版が決定、初版はもう手に入らないのかな。アルティオでは20冊ほどあります。アルティオ取扱い分は、わたしのサインを入れています。ぜひ、書店で、アルティオでお求めください。

古山拓アトリエアルティオギャラリーウェブサイトはこちらです。
https://www.artio.jp

20180326IMG_3406.jpg

20180326usiromikaeshi.jpg

posted by タク at 13:51| 宮城 | Comment(0) | モノヅクリの裏庭 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年03月18日

鹿踊り_大いなる力への祈り

森羅万象、神様、宇宙、大いなるもの、、、どんな言い方でもいいのだけれど、昔から人々はそんな全てを司る力を知っていて、それぞれの文化のありかたで働きかけてきたと思います。

私が興味をひかれる文化に古代ケルト文化がありますが、その文化圏でも森羅万象に力が宿り、Faeries=妖精がいきいきと描かれています。

以前、ケルト文化の色濃いアイルランドを旅したときに妖精の画集を買ってきました。妖精といっても、かわいらしいものではなく結構怖い。小さなブラウニーなんて名前こそ可愛らしいですが、それだって実際目の前に現れたら、ひきます、きっと。そこには大いなる力への畏怖があるように思えます。

ひるがえって自分が暮らす日本の祭りや伝承芸能を見ると、やはりおおいなる力への畏敬の念や感謝がかたちになっているように思えます。

ふるさとである岩手に鹿踊りという伝統芸能があります。(宮沢賢治も「鹿踊りのはじまり」という物語で鹿踊りのことにふれています。)この踊りの衣装を見ると、ケルトの妖精達を思い出してしまうのです。動物と人間がひとつになっているような、そんな不思議なデザイン。(実際に目の前で鹿踊りの衣装をまとった踊り手を見ると、その大きな存在感に圧倒されます。)

いつも鹿踊りのデザインを見るたびに、人は大いなる力と常に繋がっている、、、という想いが拭えませんでした。

今日アップした絵はその鹿踊りへの想いを描いた一枚「faeries_鹿踊り」です。
20180318faeries_sisiodori.jpg

ギャラリーサイトはこちらになります。
https://www.artio.jp
posted by タク at 17:41| 宮城 ☁| Comment(0) | 水彩画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする