2017年01月10日

夏の記憶

「メルカート」という年二回発行の情報誌裏表紙に、「旅絵」と題して、水彩画とショートエッセイを担当しています。
今日は次号の原稿締め切りが迫り、文系脳を動かしています。
それでも、もともと脳の本来の気質が文系脳らしいので、楽しい仕事です。

専門分野の機関紙ですので、一般には出回りません。
ここで前号掲載のエッセイを紹介します。

20170110夏の記憶_岩手_水彩_古山.jpg

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岩手県 住田・「見知らぬ良き地」

 自分の旅の旅程はかなりアバウトな方だと思う。予定で「お茶の時間には目的地だな」と計画を立てていても、その通り事が進むことはまずない。もちろん目的地は決めて出かけるのだが、ゴールに辿り着くまでの旅程は現場の空気にかなり左右される。途中、アンテナに引っかかる町に出会えば、そこで立ち止まることがおおい。

 この絵は、岩手に宮沢賢治をテーマに取材旅したときに出会った風景だ。賢治がインスピレーションを得たと言われる種山が原高原に立寄り、その日のゴールと決めていた遠野へむかった。とった道筋は国道三九七から国道三四〇の峠越えルートだ。ところが峠の手前、思いがけず何度も足を止めることになった。今回の絵に描いた住田町だ。

 さらさらと流れる小川。里山と夏の空。小川に分け入ったり、あぜ道に降りて見たり。あっという間に数時間が過ぎていた。ロードマップに地区の名を調べると「上有住」とあった。決して名高い名所旧跡がわけではない。けれど、広がる田園には、心が思い切り深呼吸したくなる「崇高な空気」があった。 
   
 そんなことを思い返してみると、自分の旅の目的の一つは、ゴールに辿り着く途中、どこかで出会うであろう「まだ見知らぬよき地」を探すことなのかもしれない。

(絵と文・古山拓・画題「夏の記憶」)






posted by タク at 18:39| 宮城 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | 水彩画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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