2012年02月02日

「子規の風景」 第15回 岩切

1月30日付け河北新報に連載の「子規の風景」をアップします。
今回の場所は、岩切です。

子規の風景 はて知らずの記をたどる

「駅の匂いが極上の土産」

岩切

「蓮(はす)の花さくやさびしき停車場」
子規


iwakiri_shiki_masaoka72.jpg

 私は、旅がくれる贈り物の一つに、「匂い」があると思っている。旅先で無意識に嗅いだ街角の匂い、食堂の換気、通り過ぎる香水の香り…。場所ごとに異なる匂いは現地でしか得られない。

 旅先の匂いの記憶が効果を発揮するのは、日常に戻ってからだ。鼻先をかすめた空気が引き金となり、ふと旅の記憶が呼び覚まされる。はるかな地を空気まるごと思い出す、極上の旅の土産だ。

 そんな嗅覚を強く刺激する場所の一つが、駅だと思う。レールの鉄臭さをベースに、駅舎に行き交う人々のさまざまな思いが振りかけられているのだから、当然と言えば当然かもしれない。

 今回の句は、正岡子規が多賀城から仙台に戻る途中立ち寄った、岩切駅に詠んだものだ。彼は駅舎の匂いを吸い込んだ。旅を終え日常に戻った子規は、東京の空の下でふとした拍子に岩切の空気を思い出したのではないか、そう思いたい。

 塩釜、松島、そして多賀城とわずか2日間で史跡を訪ねまわった正岡子規。上野駅を出発した7月19日から、数えて12日がたっていた。

絵と文/古山拓
picture & text by Taku FURUYAMA all rights reserved




posted by タク at 09:36| 宮城 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | 子規の風景-はて知らずの記をたどる | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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