2012年03月11日

2012の311

今日は個展最終日です。
一年前の今日、たくさんの人の時計を止めたあの瞬間が、あと五時間もすればやってくる。

会場に入る前に、何かを書こうと思ってパソコンに向かったけど、いろんな思いが渦のようになってる。
渦はとまりそうにないので、流れる思いのまま、キーを打ってみる事にする。
まとまらない文章になると思うけれど、ごめんなさい。

今日の仙台も一年前と同じく曇っていた。
そして午後。
そこからはじまった365日。その365日がくれたメモを記します。


◎311-メモ1
震災の埃で白くなった程度で済んだぼくは、自分なりに突き動かされるように走ってきたけど、自分ひとりで前に進んだ事なんて、何もない。
そこには無数の人との会話や風や太陽の日差し、そんなことがくれた「思考」があって今にいたっている。どの一つがかけても、今日の今の瞬間は、ない。見ず知らずの地球の果てにすむ人まで、ありがとうと感謝を送ります。

今朝、外の屋根にとまる一羽の雀がとまっていた。
彼を見て思ったのはその事だ。
屋根にとまる雀でさえ、ぼくのことを前に進ませてくれているおおきな力なんだと思う。


◎311-メモ2
いままでしがみついていたものに「そんなものどうでもいいよ」と、ゴミ箱に放り投げたものがいっぱいある。
いらないものはいらないんだ。
目の前に広がる世界は無数の事象にあふれて、ちっぽけな自分をまどわすけれど、赤ん坊になったつもりで欲しいものといらないものを無邪気に選べば、それでいい。


◎311-メモ3
伝えることの大切さ、というけれど、絵を描くという仕事をたぶんカミサマがぼくにくれたとしたのなら、「伝えよう」なんてはおもわないことだ。そんな思いはカミサマに対する傲慢だ。
ただ描く。絵描きなんて、旅先でお布施をもらって明日へ繋ぐその日暮らしとなんら変わりない。
ぼくは、ジャーナリストじゃない。
兵士じゃない。
政治家でもない。
貿易商でもない。
ただ目の前に広がるモノゴトを心の中にとりこんで、唯一無二の自分を通して外にひねり出すだけ。
それでも、かならず、路上で描かれたなにかは、どこかのだれかの心に届く。
だれかの心にはこんでいってくれるのは、「雀」や「風」、たぶん「そんなもの」だけど、究極の「そんなもの」だ。
すくなくとも届ける事でだれかの何かがちょっとだけ、変わる。そのためになら生きていいよ、と言われてる気がする。…あ、やっぱりこれも傲慢だ。まだ全然よくわかってないね。
雀や風までも頼る、傲慢な自分。でも、いいや。

◎311-メモ4
旗をあげようと思ってる。
心に打ち立てた旗は、他の誰かに抜かれる事はない。
どんなにぼろけても「自分が引き抜かない限り」、その旗は立ち続ける。
だから、旗をあげようと思う。
だれにも見えない旗だけど、自分の旗は、すごく大事。


◎311-メモ4
あの日から一周年の昨日、息子が中学を卒業した。
参列する私たちの前で合唱を指揮することになった息子は、指揮を振る前、私たちの方を向いた。
その時の表情、立ち姿に魂の強さを見た。
こどもと向き合うのは大変だけれど、15年の自分のふがいなさを、その表情は許してくれた。
こころからありがとう。


◎311-メモ5
窓の外の向いの家の屋根にとまっていた一羽の雀が、いまはいない。
あたりまえに、いない。

以上、メモ書きおわり。
どこまでも書き進めてしまいそうなので、ピリオドです。
ピリオドうつことで、次が始まることもあるし。

個展最終日のブログの絵は、「風のみちしるべ」です。
20120311kazenomichisirube.jpg

晩翠画廊は、本日最終日、午後5時まで開いています。

2012年3月11日午前9:11しるす。


posted by タク at 09:12| 宮城 ☁| Comment(7) | TrackBack(0) | 東北関東大震災 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
あれから一年
心はいつもBrave東北
お前は悔いなく生きてきたか 恥じることなく生きているか そう自分に問いかけながら過ごしてきた一年 迷うたびにこのページの絵を見に来ました。そして今日出会ったこの素敵な絵「風の道しるべ」 何とも温かな気持ちが伝わります。
ベアさんとマイミクになれたことを誇りに思います。
Posted by 秋 優馬 at 2012年03月11日 09:52
間もなく終了します…

今回も多くの素晴らしい出会いを頂きました。

ありがとうございます。

そう
そうして前へ。

私も私の旗を揚げよう!

と思う。
Posted by ねこっち at 2012年03月11日 16:56
2時46分を、晩翠画廊にいらした皆さんと一緒に迎えられました。短くて長くて不思議な一年。
大きな被災をしなかった身にも、つらいものがありました。
次はどんな絵にお会いできるでしょう。
Posted by こみや at 2012年03月12日 00:30
秋さん、私の描いた絵が、どんなかたちでも役に立ててうれしいです。
こちらこそ勇気もらえました。
ありがとうございます。
Posted by タク at 2012年03月12日 18:06
ねこっちさん、こちらこそ、あの日にあわせてくれたことに感謝しています。
いろんあことがあったけれど、昨年に続いてもっとも記憶に残る個展のひとつになりました。

ねこっちさんがどんな旗あげるか、楽しみにしています!
Posted by タク at 2012年03月12日 18:20
天に昇る日は此の世の万物に遍く光を当て、
流れる水は深い窪みの隅々にまで行き渡るもの。

僅かな隙間をも照らし、深い窪みの奥までをも潤す。

そういう大人になって欲しい。
そういう旗を立てなくちゃ。

ね!
Posted by タナカアニ at 2012年03月18日 22:13
タナカアニさん 深い言葉ですね。ありがとうございます。
特に、これからの世代にこの言葉を伝えたいですね。
心の中で旗を立てる事、とっても大事だ、そう思います。
Posted by タク at 2012年03月21日 09:37
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