2012年06月26日

子規の風景 「はて知らずの記をたどる」第22回 八幡

子規の風景 はて知らずの記をたどる

「廣瀬川に沿ふて遡る」
(はて知らずの記)


hachiman_hirose_nyuko.jpg

 正岡子規は、出羽へ向かうルートとして関山越えを選ぶ。それは広瀬川に沿う道だ。徒歩で峠へ向かう彼に、川渡る風は最上の涼だったに違いない。
 以前、広瀬川を源流付近から河口まで辿ったことがある。きっかけは、広瀬川をテーマに開催された美術展だった。私にとって制作のための現地取材は新鮮そのもの、普段何気なく見ている広瀬川を見直すこととなった。その地に暮らしていると、当たり前すぎて見逃している事は思いのほか多いものだ。
 当たり前といえば、今普通に使われている表現に口語体がある。思考をしゃべり言葉に置き換えるというそれは、実は明治の表現変革を経て辿り着いたものだ。子規は友人であった夏目漱石らとともに思考の表現維新に関わった。
 子規の文体は単純明快だ。冒頭の言葉はわずか九文字。だがそれは、子規が、文学者として時代と戦っている姿だと私は思う。
 当たり前に見える原野に、疑問符という鍬をざくりと振り下ろす。その鍬が新しい時代を切り開いてゆく。

絵と文/古山拓
picture & text by Taku FURUYAMA all rights reserved




この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:


この記事へのトラックバック
×

この広告は180日以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。