2012年06月26日

子規の風景 「はて知らずの記をたどる」第24回 熊ヶ根

子規の風景 「はて知らずの記をたどる」熊ヶ根

山奇なり夕立雲の立ちめぐる
子規


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 落合から愛子を抜けた子規は、作並へと向かう。はて知らずの記に、「野川橋を渡りて…」というくだりがある。表題の句は、今の地名でいう熊ケ根付近の風景描写の後に紹介されている。
 子規の東北旅を知る前に野川橋付近をスケッチ旅で知っていた私は、彼の記述に思わずうなずいていた。ちなみにこの橋は、小さいながらも現役だ。
 野川橋周辺の風景を知ったのは、広瀬川上流にモチーフを探していた時だ。陸前白沢を過ぎて小さな脇道を見つけ、くねる坂道を下っていった。辺りには旧街道の「におい」がしていた。広瀬川に架かる野川橋に立ち、左右を見渡した。蛇行する川面からそそりたつ黄土色の地層に思わず息をのんだ。
 仙台近郊のあちこちをスケッチして歩いているけれど、この場所を見つけた時の興奮はいまだに忘れられない。素晴らしい風景との出合いは脇道にそれる楽しみを知っている人に与えられた特権だ。
 涼を求め川原に遊ぶ家族連れの歓声が、水面を渡る。子規の句に、初夏の色がオーバーラップしていた。

絵と文/古山拓
picture & text by Taku FURUYAMA all rights reserved





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