2012年07月31日

子規の風景「はて知らずの記をたどる」第27回 作並温泉・下

昨日7月30日付の河北新報夕刊に掲載になった「はて知らずの記をたどる」連載アップです。
前回に引き続き作並温泉「岩松旅館」です。

作並温泉・下

夏山を廊下つたひの温泉かな
子規


20120716sakunami_2_nyuko72.jpg


 前回書いたように岩松旅館ではその場で描くことはしていない。この絵は風呂から持ち帰った「記憶」を基に「印象」をざくっと刻んだ素描を下敷きにした。前回の古時計の絵も制作過程は同じだ。
 子規は言葉による「写生」にこだわった。とはいえ、どんな場合でもその場で紙と筆を即座に取り出したと考えるのは、ナンセンスだろう。絵も同じだ。
 絵には想像力、そして記憶の連結力が欠かせない。もちろん現場デッサン力は必須だが。
 まっさらな紙に向かい「記憶」と対話しながら、過去に見た風景を紡ぎ出す。そこには描き手の過去何十年という経験が意識せずともにじみ出る。山や川、町並みや空を描き出したそれは、実は描き手そのものでもあるのだ。
 今回の句は、旅館内でも案内されているが、彼が作並で詠んだ句を幾つかここに紹介しておこう。
 ちろちろと焚火すゞしや山の宿
 はたごやに投げ出す足や蚋のあと
 私が子規の句に感じるのは、写生された印象にかぶる生々しい彼自身の姿だ。

絵と文/古山拓
picture & text by Taku FURUYAMA all rights reserved




posted by タク at 09:12| 宮城 🌁| Comment(0) | TrackBack(0) | 子規の風景-はて知らずの記をたどる | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:


この記事へのトラックバック
×

この広告は180日以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。