今日は七夕だ。
あと一月後、仙台の町中は、七夕飾りが風になびくことになる。
祭は家族で楽しみたい。楽しみたいはずなんだけど、七夕は人の出がハンパではない。そんなわけで仙台七夕、遊びで出向いたのは子供が小さかった頃、数回だけのような気がしている。
その昔の十年ほど前まで、毎日のように仕事の用事で街中を通過していた。今はネットが発達したせいで、打ち合わせや納品に出かけることが少なくなったが、当時は七夕であってももちろん変わりなく仕事は動き、代理店とウチの中間に横たわる目抜き通りは七夕の人の出で通過困難な「関所」状態になっていた。
どこを抜けて、時間通りに打ち合わせ先に到達するか、本気でルートを練ったものだ。
仙台在住イラストレーターとして、仕事で七夕を描く機会がある。
まあ、雰囲気オンリーで描けないこともないけれど、やはり現場取材に叶うものはない。
観光客に紛れ、吹き流しの真下に立つ。
どこからか風がそよぎ、大きな吹き流しがゆったりと頭上で舞う。この瞬間は絶品だ。
往来に遠慮せず立ち止まり、ただただ見上げているだけなのだが、これが極上に心地よい。
あと一月後には全国から観光客が東北夏祭りにやってくる。もし仙台七夕に来たなら、ぜひ立ち止まって、見上げてほしい。しばらく待っていると、どこからか風が波のように寄せてくる。そのとき、前を見て進むだけでは見えない夏の風が見える。
七夕は星祭でもあるけれど、そう、風祭でもあるのだ。
挿絵は、なんと拓さん。これから毎日挿絵を通して拓さんに会える。楽しみです。