私が義務教育を受けていた40年ほど前、幕末から近代以降は学校の授業ではあまり深く触れられなかったように記憶しています。(いやいや、そんなはずはない、居眠りしていたにちがいない)
ふるさとの岩手盛岡にある盛岡市先人記念館で開催されていた「明治150年と盛岡」展が終了しました。実は、ほんの少しばかりですが、イラストレーターとしてお手伝いをさせていただきました。
昨年から今年のはじめにかけて岩手日報に連載された盛岡藩の幕末小説「柳は萌ゆる」(平谷美樹・作)の挿絵を手がけましたが、企画展のために、数点イラスト作品データを提供したのでした。もっとも絵は小説の内容からのイメージですから、表現されているのは、私の脳内世界です。それでもイメージングの素材には役立ったのではないかと思います。
先日、いただいた企画展パンフレットの奥付けに、ふと目が止まりました。協力者クレジットに自分の名前が、、、。見逃していました。150年前に渦巻いていた時代の奔流に、150年後の「未来」からほんのわずか関われたようで、とても嬉しかったです。
描くことで、ふるさとの人文科学にわずかでもお役に立てたこと。それは絵描きとして細々と生かしてもらっている自分にとって、故郷から大きな賞をいただいたようなものでした。ありがとうございました。
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時代小説「柳は萌ゆる」平谷美樹・作は、このたび実業之日本社より刊行されました。(私の挿絵も一部つかわれています。)
平谷先生は、当時の情報の少なさの中で苦悶する盛岡藩のサムライたちの生き様を、見事に書きだしました。IT,Ai,グローバル(という言葉は個人的に嫌い)が世界を席巻し、国境があいまいになり,変化が見えにくい「今」は、幕末維新の時代に通じるものがあるように私は感じています。この本は、そんな今だからこそ読む価値があると思います。
「歴史は繰り返す」。あらためてこの言葉の重さを感じています。